トラツグミ 虎鶫
Toratsugumi
Zoothera dauma
White's Thrush

トラツグミ スズメ目ヒタキ科
 黄色と黒のまだら模様をした
 大型サイズのツグミ

   

福山市近辺、横浜市の公園での観察


トラツグミとの出会い、拾った羽

 ときは2015年2月に遡ります。当時はまだ福山市に住まいしていて、毎週のように市内にある山野狭という山中に鳥見をしに出かけていました。ここの標高は200m台で民家も近くにある山村的な場所ですが、いく度に色々な鳥が出てくるので飽きることのないお気に入りの観察場所でした。
 当日も細い登り道を歩いていて鳥を探していたところ、ふと足元にたくさんの羽が落ちていることに気づきました。実は私、今でこそ羽を拾うのを鳥見の楽しみの一つにしていますが、その出発点になったのがこの日だったのです。
 目の前に散らかっている羽は、一見して私がよく見る鳥ではないことがすぐに分かります。お宝を目の前にした気分で興味が沸き起こった私は、とりあえず全部拾って袋に入れて持ち帰ることにしました。ところがです。せっかく羽を家に持ち帰っても、この羽の持ち主だった鳥が一体何者なのかは全く不明なまま。全くもってすっきりしません。ネットで調べようにもまるでヒントがないため、このままでは判別までたどり着きそうにありません。そこで少々お値段は張りましたが、原寸大写真図鑑 羽という本を購入してみることとしました。通販で購入した本が到着して、さっそく件の羽を手にもって図鑑と照らし合わせると、なんと私が目の前にしている羽とそっくりな羽が掲載されているではありませんか。その名前は「トラツグミ」。もちろん生きた姿は未見です。初めての出会いは羽のみの「接近遭遇」までとなりました。
 そのトラツグミ、体長30cmと書かれていますからおよそハトサイズです。これだけ大きいと近くにいれば簡単に気づきそうなものです。と、期待してその後も何度か山野狭へ足を運び、毎回トラツグミを意識して探索を続けましたが、結局願いは叶わず、私の福山時代は終わってしまいました。

 左「トラツグミの羽」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


トラツグミの動画

 羽を拾ってから6年後2020年12月の大晦日の日、近くの公園に鳥見に出かけました。
 その公園には冬にトラツグミがくると以前から教えてもらっていて、既に何度か探しに来たことがありました。しかし、運の無い私は毎度毎度振られる始末。。。それでも前回の訪問時などは「さっきそこで見たよ」などと教えてもらい、既に場所も特定済み、あとは時間の問題となっています。次こそは粘って絶対撮って帰るぞ!と心に決め、運命の大晦日に公園へ出かけ、早朝から出待ちを続けること3時間!ついにトラさんも根負けしてくれたのか、やっとご対面!となりました。めでたしめでたし。
 観察していて面白かったこととして、トラツグミは身体から尾羽をずっと小刻みにブルブル震わせているのですね。サイズは違うけれど、やはりツグミの仲間のジョウビタキやルリビタキなんかは、お尻をピョコピョコ振りますけれど、それとはちょっと違う。なんというかアクションが小さい。。。なんか臆病風に見えてしまいます。身体が大きいとアクションするのも大変なので、振りが小さくなるのだろうか。。。

 動画を置いておきます。動画で見ると「身体は震えるのだけれど、顔だけは微動だにしない」のがよく分かります。超高性能なショックダンパーを持っているような感じです。

 左「トラツグミの動画 横浜市内の公園にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。動画は20MBありますので、DL環境にご注意ください。


トラツグミ

 上の動画と同じ場、所同じ時間の静止画です。日陰だったのでちょっと暗い絵です。逆に暗い場所だから鳥も出てきやすいのかもしれません。ツグミ類ってシロハラやクロツグミなど暗いところにいる種が多いような印象があります。

 左「トラツグミ 横浜市内の公園にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:広島県福山市 1(羽のみ)、長野県上田市 1、神奈川県横浜市 1、都合3回。羽を拾ったのは山の中でしたが、生きた姿を見たのはどちらも街中にある公園内です。いずれも隠れ場所の無い開けた場で観察できたので、あまり人目を気にしない鳥なのかもしれません。

観察月と回数:
1月0
2月2 〇〇
3月0
4月0
5月0
6月0
7月0
8月0
9月0
10月0
11月0
12月1 〇
都合3回
夏場はやや高い山の奥にいて繁殖し、冬は平地にやってきます。街中の公園でも見られる冬場が観察し易いと思います。




 (トップ画像 トラツグミ 2020/12/31 D500 150-600mm/F5.6-6.3 神奈川県横浜市にて撮影)

 初出:2020/12/31
改訂:2021/08/05 ヒタキ科へのリンクを追加。