コサメビタキ 小鮫鶲
Kosamebitaki
Muscicapa dauurica
Asian brown flycatcher

コサメビタキ スズメ目ヒタキ科サメビタキ属
 目の大きな夏のヒタキ
 声、姿共、キビタキに押されて存在感薄し

   

福山市での観察


コサメビタキの動画

 2008年のGW、木陰の中に小鳥のシルエットが静かに浮かんでいました。レンズを向けて観察してみると、とても地味な小鳥です。地味といえばまず目に浮かぶのがウグイス類ですが、一所でじっとしているのでウグイスでもムシクイでもなさそうです。記録画像を持ち帰って家で図鑑とにらめっこした結果、胸の薄いグレーと目の大きさからしてコサメビタキだと同定しました。
 このコサメビタキ、鳴き声がとても小さいので、見つける手段は目視オンリーに限られます。そもそも鳴くというより小声でぐぜるという感じでしょうか。だから、たまたま枝から枝へと飛び移る場面にでも出くわさない限り、滅多と観察のチャンスに出会えません。その代わり、一端見つけると少なくとも数秒間は同じ場所にいてくれるので、割とカメラに記録し易い鳥さんです。
 ところで藪の中が好きな鳥には困ることがあります。彼らは夏の日差しの下で深い木陰の中にいることが多いので、どうしても身体に葉っぱや枝の黒い影が映りこんでしまうのです。特にコサメビタキの場合は体色が薄いグレー系なので、顔の回りなどに枝葉の黒い影がスジのように入りがちです。結果「写ってはいるけど絵としてどうよ?」みたいなパターンが多くなります。
 そんなコサメビタキも何故か9月頃にエゾビタキと一緒に現れる場合はちょっと様子が違ってきます。初夏の頃は藪の中に隠れてばかりいたコサメビタキが、この時期は何故かジョウビタキ並みに表に出てきてくれるのです。秋ともなると捕るエサが明るい外に多くなるからなのでしょうか。前置きが長くなりましたが、そのようなわけでコサメビタキを見るなら夏より秋口をお勧めします。

 動画を置いておきます。前半は初夏の藪の中、後半は秋の開けた低木の上です。出だしの絵ではのどを膨らませて鳴いているようなのですが、小声なもので一向に聞こえてきません。きっと恥ずかしがりやさんなのね。

 左「コサメビタキの動画 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


コサメビタキとエゾビタキ

 2010年9月の渡りの季節、エゾビタキがふれ愛ランドにやって来てくれました。珍しいお客さんなので張り切って撮影に挑み、当時持っていた2GBのCFメモリー一杯になるまでシャッターを切って満足感一杯で家に帰りました。改めて家で記録を見直してみると、現場ではどの姿も皆エゾさんだと思って撮っていた中に、コサメさんとキビ子さんが混じっていたことを知りました。この写真はそのエゾ&コサメが仲良く一枚に納まっている絵です。左のぼやけているのがエゾビタキ、右がコサメビタキです。両者は胸にスジスジがあるかないかの違いがあるだけで、他はほとんどそっくりさんです。よーく見てみるとエゾさんの方が微妙に翼が長いのだそうですが、現場ではそこまでなかなか気付きません。キビ子さんも同じヒタキ科で確かに似てはいるものの、ややオリーブ色がかった色なので、現場で冷静に見ていればわかるはずだったのですが、この日はエゾさん撮り放題に興奮していてついつい気付かなかったようです。2010年のエゾさんに比べると2014年のエゾさんはちょっとサービスが渋かったなぁ。

 左「コサメビタキとエゾビタキ 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


コサメビタキの幼鳥

 真夏に山の小道を歩いていて、とても小さな小鳥が枝に止まっているのを見つけました。エナガにしては動きません。レンズを向けて覗いてみると、ちょっと見た目の雰囲気が普通の小鳥と違います。羽毛がケバケバしていて、目が異様に大きい。。でもなんとなくこの姿は見たことがあるような気がしないでもない。。結果コサメビタキの幼鳥と判断しました。若鳥よりももっと巣立って間が無い感じです。「コサメビタキってここで繁殖していたんだ」と、改めて感動した次第。

 左「コサメビタキ 幼鳥 福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。



コサメビタキ

 2015年9月のこと、この日は丁度渡りでやって来たエゾさん目当てで待ち構えていたのですが、エゾさんよりコサメさんが一生懸命サービスで相手をしてくれました。前年も同じパターンで両者を撮ったのですが、朝日が強くて少し色が飛んだ絵になっていました。今年は少し柔らかめの絵が撮れたので差し替えることとしました。

 左「コサメビタキ  福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


コサメビタキの飛翔

 コサメビタキの動画ファイルを見直ししていたところ、丁度飛び立つ場面を絵に切り取れることがわかりました。コサメビタキは地味な小鳥ですが、羽を開いてもやはり地味ですね。(うーん、身も蓋もないか。。。)

 左「コサメビタキの飛翔  福山市にて」のサムネイルをクリックしてご覧下さい。


観察データ

場所と回数:広島県 14、長野県 1、山梨県 1、都合16回。低山のやや暗い森の中でよく見かけます。

観察月と回数:
1月0
2月0
3月0
4月0
5月5 〇〇〇〇〇
6月1 〇
7月2 〇〇
8月1 〇
9月7 〇〇〇〇〇〇〇
10月0
11月0
12月0
都合16回

 夏鳥です。5月はキビタキを探していて見つけることが多いですが、鳴き声が小さいので見つけるのは偶然が多いですね。秋やエゾビタキと一緒にいるところをよくみます。このときは、渡りの体力づくりのためか、エサ取りに必死になっており、一か所で長時間観察できるのでお勧めです。



 (トップ画像 コサメビタキ 2021/05/04 山梨県富士山周辺にて撮影)

 初出:2014/09
 改訂:2015/09/13 画像の差し替え
 改訂:2016/06/12 飛翔画像の追加
 改訂:2016/07/09 トップ画像の差し替え
 改訂:2018/06/03 属を追加
 改訂:2021/08/07 トップ画像の差し替え、ヒタキ科へのリンクを追加。観察データの追加